第57回日本膵臓学会大会(The 57th Annual Meeting of the Japan Pancreas Society)

会期
2026年7月24日(金)-25日(土)
会場
福岡国際会議場
〒812-0032 福岡県福岡市博多区石城町2-1
会長
中村 雅史
(九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科教授)
事務局長
仲田 興平

演題募集

演題を募集いたします。
募集する講演形態は、次のとおりです。

  1. 一般演題(公募)
  2. 主題演題(公募)
  3. 指定演題

皆様からの多数のご応募をお待ちしております。
なお、公募演題の採否・発表形式・発表日時等は、会長にご一任ください。
「指定演題」は指定演者の先生のみ、ご登録をお願いいたします。
演題登録画面へ進むボタンは本ページ下部にございますが、以下の注意事項を十分お読みいただいたうえで演題登録画面にお進みください。

演題登録方法

UMINシステムを用いたオンライン登録です。
本ページ下部の「新規演題登録」ボタンから、案内にしたがって演題の登録を行ってください。
演題登録後、締め切り前までは、登録内容の修正が可能です。

演題募集期間

2025年11月14日(金)~2025年12月26日(金)正午(予定)

  • 締め切り直前はアクセスが集中し、回線が混雑することにより演題登録に支障をきたすことも予想されますので、余裕を持ってご応募いただくことをお奨めいたします。
  • 演題登録後、締め切り前までは、登録内容の修正が可能です。
  • 原則、締切日以降の抄録の差し替えや登録内容の変更は受付できませんので、修正は必ず演題登録期間中にお済ませください。

応募資格

  • 筆頭演者ならびに共同演者は、日本膵臓学会の会員に限ります。ただし、メディカルスタッフ、学部学生、医師免許を有しない大学院生の方は、会員・非会員を問いません。 非会員の方は、下記URLにて必ず入会手続きを行ってください。
    ※入会申請中に演題登録を行う場合は、会員番号入力欄に「99」とご入力ください。
  • 演題は未発表のものに限ります。
  • 研究内容、倫理面等を総合的に評価のうえ採否を決定し、口演発表とポスター発表に分類します。
  • 主題演題については、不採用になった場合、一般演題としてご発表いただくことが可能です。

採否については会長一任とさせていただきますので、ご了承ください。

  • 入会、会員番号等の問い合わせは下記よりお願いします。
  • ※入会申請後から、会員番号付与まで1か月程度の時間を要します。

入会・各種変更届

会員番号問い合わせ

各種問合せ

指導医・会員情報管理事務局
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル7F
(株)毎日学術フォーラム内

公募演題の抄録文字数と共同演者の登録制限について

  • セッションで「一般演題」または「主題演題」を選択
    抄録本文:
    • 和文の場合/全角800文字以内(スペース含む)
    • 英文の場合/半角1,600文字以内(スペース含む)
    総文字数(演者名・所属・演題名・抄録本文の合計):
    • 和文の場合/全角1,000文字以内(スペース含む)
    • 英文の場合/半角2,000文字以内(スペース含む)
    この文字数を超えると登録できません。
  • 演者数(筆頭演者+共同演者):20名まで
  • 所属施設数:10施設まで
  • 英語セッションは全角の空欄・記号・数字等が入力されていた場合、エラーが発生します。
  • 特殊文字を使用される際はこちらの特殊文字一覧から専用のタグをご利用ください。

演題募集期間終了後、修正、共著者の変更・追加等には対応できかねますので、予めご了承ください。

登録方法・登録時の留意点

  1. 1)応募する「セッション」を1つ選択してください。
  • 一般演題
  • 主題演題
  • 指定演題
  1. 2)公募のセッション(一般演題もしくは主題演題)を希望される場合、以下より希望カテゴリーを1つずつ選択してください。
第1希望カテゴリー
(ア)膵内外分泌 (イ)内視鏡 (ウ)手術 (エ)抗癌薬・放射線
(オ)急性膵炎 (カ)慢性膵炎 (キ)自己免疫性膵炎 (ク)膵癌
(ケ)膵神経内分泌腫瘍 (コ)嚢胞性膵腫瘍 (サ)その他の膵腫瘍
(シ)膵移植 (ス)メディカルスタッフ (セ)その他
第2希望カテゴリー
(ア)基礎 (イ)診断 (ウ)治療 (エ)症例 (オ)その他
  1. 3)一般演題に応募される方は、「口演」もしくは「ポスター」のどちらかを選択してください。
  1. 4)主題演題(特別企画、シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップ)に応募される方は、下記をご確認のうえ、セッションを1つ選択してください。
    主題演題には一部指定枠が含まれます。また、指定のみのセッションがありますのでご了承ください。

主題演題

特別企画1公募・一部指定

膵癌早期診断社会実装化に向けての課題と取り組み
司会
  • 北野 雅之(和歌山県立医科大学内科学第二講座)
  • 正宗 淳(東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野)

司会の言葉

膵癌は死亡数が増加の一途をたどっており、早期診断の実現が喫緊の課題となっている。胃癌や大腸癌では検診によるスクリーニングシステムが確立している一方で、膵癌を対象とした検診体制は未だ構築されていない。その主な理由として、費用対効果の問題が挙げられる。また、高リスク群に対して対策型検診、いわゆる住民検診を実施する場合でも、対象者をどのように絞り込むかについては明確な基準が確立されていない。近年、早期膵癌の特徴的画像所見やバイオマーカーに関する研究が活発に行われており、これらの検査が早期段階で実施されれば外科的切除が可能となることが期待されている。さらに、各地域では病診連携による膵癌早期診断プロジェクトも進展している。本セッションでは、膵癌検診の社会実装化に向けて解決すべき課題を明らかにし、その解決策とともに、最新の診断法や医療連携の知見をどのように活用し、社会実装へとつなげていくかを探りたい。

特別企画2(英語セッション)公募・一部指定

SUMMIT(外科治療)
司会
  • 永川 裕一(東京医科大学病院 消化器・小児外科学分野)
  • 中村 雅史(九州大学病院 臨床・腫瘍外科)

司会の言葉

The special session “SUMMIT (Surgical Landmark Meeting by International surgeons)” focuses on the recognition and standardization of anatomical landmarks in robotic pancreaticoduodenectomy (RPD). With the increasing adoption of robotic surgery, enhanced visualization and dexterity have enabled more precise dissections, yet variability in techniques and training remains a major challenge. Through international surveys and discussions conducted by the SUMMIT members, the need for a shared understanding and reproducible techniques -especially for dissection and reconstruction around major vessels- has been emphasized. In this session, leading experts from Japan and abroad will present their latest insights and technical innovations. The goal is to enhance the safety and educational development of robotic pancreaticoduodenectomy and to promote global consensus toward the future standardization of this complex procedure.

特別企画3公募・一部指定

膵領域における女性医師のキャリアと課題
司会
  • 竹山 宜典(大阪暁明館病院)
  • 遠藤 格(横浜市立大学消化器・腫瘍外科学)

司会の言葉

膵疾患領域は、診断・治療ともに高い専門性と長期的な研鑽を要する分野である。その中で女性医師が専門医・指導医としてのキャリアを築くことは、依然として容易ではない。ライフイベントに伴うキャリア中断、長時間勤務や当直体制、手術や内視鏡検査など身体的負荷の高い業務など、構造的な’壁’が存在する。一方で、女性医師は多様な視点と柔軟な発想をもってチーム医療を支え、患者中心の医療の質を高める重要な役割を担っている。外科手術においても女性のほうが術後合併症が少ないという報告も散見されるようになった。

本セッションでは、膵臓内科・外科の最前線で活躍する女性医師を中心に、キャリア形成の実際、ロールモデルの在り方、そして働き方改革・制度設計の課題を議論する。特に、男女を問わず持続可能な専門医キャリアを実現するための仕組みづくりや、指導的立場における女性の参画促進についても焦点を当てる。

膵領域の発展には、多様な人材が長く安心して活躍できる環境の整備が不可欠である。本セッションが、次世代の医師たちにとって「膵の専門医を目指したい」と思えるような希望あるキャリアパスを描く一助となることを期待したい。

特別企画4公募・一部指定

膵疾患診療における地域連携や過疎地対策
司会
  • 立石 敬介(聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器内科))
  • 佐田 尚宏(独立行政法人 新小山市民病院)

司会の言葉

膵疾患診療においては、例えば膵癌の早期発見から専門性の高い検査及び治療に至るまで、地域内外における有機的な医療連携の果たすべき役割は大きい。さらに超高齢社会の昨今においては、治療選択の過程においても本人の年齢のみならずADLに基づく判断が必要とされる場合も多く、かかりつけ医・往診医との病病連携の重要性が増すばかりである。院外での患者サポート体制整備の面でも地域福祉との連携が必要不可欠である。また、過疎地域では専門医不足が顕著であり、膵臓病指導医や医療資源が限られる実情に対してオンライン診療や遠隔画像診断などの工夫も行われつつある。以前の本会第55回大会ではメインテーマを「膵臓病学の均霑化」に掲げ、質の高い膵疾患診療に日本のどこでもアクセス可能な体制づくりに向けての討論を行った。引き続き本特別企画でも、専門性の高い膵疾患診療を可能にするための有機的な地域連携についての取り組み、あるいは過疎地域における診療体制の実情や工夫などについて、様々な視点からご発表・ご討議いただきたい。

特別企画5

Interventional EUS Grand Prix
司会
  • 糸井 隆夫(東京医科大学消化器内科)
  • 安田 一朗(富山大学第三内科)

司会の言葉

EUSは単なる画像診断法や病理検体採取の枠を超え、近年ではInterventional EUSとして様々な治療手技に応用されている。以前からEUS下胆道ドレナージ、膵管ドレナージ、膵炎局所合併症に対する治療などが行われてきており、特にlumen-apposing metal stent(LAMS)を用いた膵炎局所合併症に対する治療が広く普及している。また、最近では急性胆嚢炎に対するLAMSによる胆嚢ドレナージが適応拡大となり、安全かつ確実な手技が確立されつつある。こうした、一般的な治療の他に薬物注入・焼灼治療としては、腹腔神経叢ブロックに加えて膵嚢胞性腫瘍に対するエタノールや抗がん剤の注入・焼灼治療も以前から行われてきたが、最近その長期成績も報告されている。さらに膵神経内分泌腫瘍に対するエタノール/RFAによる焼灼療法、膵癌に対する焼灼・注入療法、膵癌による胃十二指腸閉塞に対するLAMSを用いたEUS下胃・消化管吻合術など様々な膵疾患や合併症に対する応用が報告されている。本企画ではこうした膵疾患におけるInterventional EUSの素晴らしい手技や実臨床に役に立った症例を動画で提示していただき、グランプリを競い合いたい。多数の応募を期待する。

シンポジウム1公募・一部指定

高齢者に対する膵癌治療
司会
  • 奥坂 拓志(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科)
  • 里井 壯平(関西医科大学胆膵外科)

司会の言葉

近年、我が国においては人口の高齢化が著しく進み、膵癌患者においても高齢者の占める割合は年々増加の一途を辿っております。高齢者膵癌の治療においては、併存疾患、身体機能、社会的背景など多様な要因を考慮する必要があり、治療方針の決定には慎重な判断が求められます。一方で、手術手技や化学療法、支持療法の進歩により、高齢者においても積極的治療が可能となる患者が増加しております。

本シンポジウムでは、外科・内科・放射線科、そして地域医療や緩和ケアの立場から、貴重なご経験とご見解を賜り、それぞれの視点で「高齢者膵癌に対する最適治療」を発表していただき、高齢者膵癌治療の現状と今後の方向性について多角的に討論いたしたく存じます。

日本膵臓学会ならではの多様な専門家による活発な意見交換を通じて、今後の臨床現場における治療方針の一助となれば幸いです。

シンポジウム2公募・一部指定

膵癌における低侵襲手術の治療成績と今後の戦略
司会
  • 川井 学(和歌山県立医科大学 第2外科)
  • 本田 五郎(東京女子医科大学病院 消化器・一般外科)

司会の言葉

膵癌に対する低侵襲手術(腹腔鏡・ロボット支援下膵切除)の普及は、膵癌治療に新たな可能性を示しつつある。しかし、短期治療成績として膵体尾部切除では術中出血量の減少、入院期間の短縮などの利点が報告されている一方、膵頭十二指腸切除では技術的難度が高く、high-volumeセンターでの熟練した外科医による施行が不可欠である。腫瘍学的治療成績は、R0切除率、リンパ節郭清数などの適切な症例選択と技術が担保されれば、開腹手術と同等であることが複数の臨床研究で示されているが、予後改善効果の優越性は現時点で認められていない。膵癌における低侵襲手術の短期・長期治療成績向上のための今後の戦略として、リンパ節郭清のための効率的な血管へのアプローチ、症例選択基準(血管合併切除が不要な症例)、低侵襲手術の手術教育・トレーニングプログラムの充実、手術手技の標準化、腹腔鏡・ロボット支援下膵切除それぞれの利点欠点を生かした手術などが求められる。本セッションでは各施設での膵癌における低侵襲手術の治療成績を示して頂き、膵癌における短期・長期治療成績向上のための低侵襲膵手術に対する各施設の取り組みを議論していただきたい。

シンポジウム3(英語セッション)

Global Cyst GLs
司会
  • Marco del-Chiaro(University of Colorado Anschutz Medical Campus)
  • 廣野 誠子(兵庫医科大学 肝胆膵外科)

司会の言葉

Pancreatic cystic lesions (PCLs) are increasingly encountered in clinical practice due to the widespread use of high-resolution imaging. Over the past decade, several international guidelines have been published to guide the diagnosis, surveillance, and management of PCLs. However, differences remain among these global guidelines (GLs), reflecting regional perspectives, healthcare systems, and evolving evidence.

In this symposium, titled "Global Cyst GLs," we aim to bring together international experts and researchers to compare and discuss the various global guidelines and their clinical applications. We welcome submissions that explore new diagnostic approaches, long-term outcomes, imaging strategies, biomarker developments, and real-world experiences related to the management of pancreatic cystic lesions.

We invite researchers, clinicians, and specialists from around the world to contribute their insights and experiences to this important discussion. Your participation will help shape a broader, more unified understanding of PCL management in the global context.

We look forward to your abstract submissions and to seeing you at this exciting and timely session.

シンポジウム4公募・一部指定

膵癌ガイドラインValidation
司会
  • 森實 千種(国立がん研究センター中央病院)
  • 庄 雅之(奈良県立医科大学消化器・総合外科)

司会の言葉

本年、最新のエビデンスを反映させた『膵癌診療ガイドライン2025年版 第7版』が発刊されました。ガイドラインは、膵癌診療の標準化を推し進める上で不可欠な羅針盤ですが、その真価は、臨床現場での有用性と実現可能性、すなわち「Validation(妥当性の検証)」によってこそ証明されるものと思われます。

本シンポジウム「膵癌ガイドラインValidation」では、この度改訂されたガイドラインの各推奨項目について、実臨床での適用状況、アウトカムへの影響、実施上の課題などを多角的に検証することを目的とします。診断、手術、薬物療法、放射線療法、支持療法など、各領域における実践データや臨床研究の成果を広く募集いたします。データに基づきガイドラインの妥当性を評価するとともに、次期改訂に向けた建設的な課題を明確にしたいと考えます。また、今回の改訂版でも未解決のまま残されている臨床課題に関する演題についても幅広く募集いたします。

本セッションが、膵癌診療の質の向上と、未来のガイドライン策定に繋がる熱い議論の場となることを心より願っております。多くの先生方からの積極的な演題応募を、心よりお待ち申し上げます。

シンポジウム5公募・一部指定

急性膵炎診療の進歩と課題
司会
  • 潟沼 朗生(札幌医科大学消化器内科・消化器がん遠隔医療講座)
  • 真弓 俊彦(独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院)

司会の言葉

急性膵炎の致命率は低下しつつあるが、重症度判定基準の予後因子スコアと造影CT Gradeで共に重症の症例は現在でも20%近い致命率である。その要因として、Step-up Approachが広まりつつあるものの、実施可能な施設が限られていたり、診断48時間以内の早期の経腸栄養の実施率が低いことや予防抗菌薬が依然として投与されていることなどが想定される。そこで、本シンポジウムでは重症急性膵炎における各施設での工夫や対策とその成績、並びにビッグデータやSystematic review等からの新たな知見や新規の診断法や治療法の提案を示していただき、重症急性膵炎のBreak thoughを検討したい。

シンポジウム6指定のみ

膵臓に関する全国多機関共同研究~エビデンスの構築を目指して~
司会
  • 竹中 完(近畿大学医学部付属病院 消化器内科)
  • 藤井 努(富山大学 学術研究部医学系 消化器・腫瘍・総合外科)

司会の言葉

膵臓疾患の診療と研究は、画像診断から内視鏡、外科、病理、さらにはゲノム解析やAI応用にまで広がり、その複雑さゆえに、単一施設の努力だけでは真に患者を救うための確固たるエビデンスを築くことは難しい。重篤な膵疾患に苦しむ患者の命と生活を守るためには、多様な症例背景と診療体制を有する施設が連携し、質の高いデータを蓄積・解析する全国的な共同研究の推進が不可欠である。しかし現実には、研究費用の確保や、研究支援体制の整備、さらには倫理的・法的要件を満たした特定臨床研究の実施には多大な労力と時間を要し、多くの研究者がその壁の高さを痛感している。これらの困難を乗り越え、臨床現場から真に意味のある科学的根拠を発信するためには、研究者間の緊密なネットワーク構築と、データ共有・解析を支える共通基盤の整備が重要である。本シンポジウムでは、膵癌や膵炎、膵嚢胞性疾患などにおける全国多施設共同研究の最新動向を取り上げ、研究準備段階における課題、実施過程での工夫、得られた成果、そして今後の展望について議論する。日本から世界へ発信できるエビデンスを築き、膵疾患患者の未来を切り拓く道を共に考えたい。

ワークショップ1

UR-LA, BR膵がんに対する集学的治療
司会
  • 染谷 正則(札幌医科大学医学部放射線医学講座)
  • 堀口 明彦(藤田医科大学ばんたね病院外科)

司会の言葉

膵癌に対する集学的治療はこの十数年で大きく進歩しており、治療成績の改善が徐々に報告されている。その中でも、切除可能境界(borderline resectable:BR)のうちBR-A膵癌および局所進行切除不能(unresectable locally advanced)、UR-LA膵癌は、外科的切除の可否を左右する重要な群として位置付けられております。近年、強力な全身化学療法や高精度放射線治療技術を利用した化学放射線療法により腫瘍縮小や微小浸潤の改善が得られる症例も増加しており、BR-AにおけるR0切除や、UR-LAにおけるいわゆるconversion surgeryの適応や最適な治療シークエンスの検討が新たな課題となっております。

本ワークショップでは、BR-AおよびUR-LA膵癌を対象として、外科、内科、放射線治療など多方面からの最新知見を共有し、集学的治療の現状と今後の方向性について議論を深め、膵癌治療のさらなる発展に寄与する場となることを期待します。

ワークショップ2

膵疾患基礎研究
司会
  • 福嶋 敬宜(自治医科大学医学部病理学講座)
  • 古川 徹(東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野)

司会の言葉

膵疾患の診断・治療技術の進歩には目覚ましいものがありますが、その根底にある病態メカニズムの解明こそが、さらなるブレイクスルーを生む鍵であることは言うまでもありません。本ワークショップ「膵疾患基礎研究」では、この重要な領域に光を当てる場として企画されました。膵腺房細胞、膵導管細胞、膵内分泌細胞といった膵臓を構成する個々の細胞の機能不全がいかに疾患発生につながるのか、膵癌の発育進展に関与する間質・免疫細胞の複雑な動態やその制御機構、糖尿病や肥満に代表される代謝異常が膵疾患の発症・進展に及ぼす影響に関する研究など、従来の膵炎や膵癌の基礎研究に加え、さまざまなアプローチによる挑戦的な研究も歓迎いたします。それぞれの演題についてのディスカッションを通じて、参加者全員が次の研究へのアイデアやヒントを持ち帰れるような場になれば幸いです。皆様からの積極的な演題応募を心よりお待ちしております。

ワークショップ3

膵疾患画像診断の病理学的検証
司会
  • 石神 康生(九州大学 放射線科)
  • 平林 健一(富山大学学術研究部医学系病理診断学講座)

司会の言葉

膵疾患では、術前画像診断に難渋することがしばしばあり、術前に確定診断が得られない症例も少なくない。そのため、放射線科・病理診断科・外科など複数診療科による協議を経て治療方針を決定することが多く、術前診断と最終病理診断が一致しない場合もしばしば経験される。本セッションでは、日常診療で経験される膵疾患の画像所見と病理所見との対比をテーマとし、各種膵疾患の特徴的な画像所見、膵癌血管浸潤の画像所見、早期膵癌の画像所見、術前治療効果判定の画像所見などと病理所見との一致あるいは乖離が教訓的であったものを幅広く取り扱っていきたい。院内カンファレンスで日常的に検討されるような実例を学会の場で共有し、画像と病理の対応関係を通じて膵疾患診断、治療方針の深化につながる演題の応募をお願いしたい。

ワークショップ4

実臨床におけるpNEN診療の新たな展開

※UMINの選択肢は右の記載になっています。「pNENガイドラインの検証(仮)」

司会
  • 増井 俊彦(倉敷中央病院 外科)
  • 河本 泉(関西電力病院)

司会の言葉

神経内分泌腫瘍(pNEN)は、おとなしい腫瘍からアグレッシブな腫瘍まで様々な病態を呈し、また、それ故遠隔転移を含めて様々な治療戦略を練ることが可能である。また、近年、PRRTの保険承認とともに、エベロリムス+ソマトスタチンアナログの有効性が示され、治療の選択肢が広がってきた。これらの変化を背景にエビデンスベースでの膵・消化管神経内分泌腫瘍ガイドライン2026年版も作成されている。

2026年度版ガイドラインでは膵NENに関しては、●非機能性小NETに対する経過観察、●非機能性小NETに対するablation等の局所治療、●膵NECに対する手術療法、●NET遠隔転移に対する根治的切除、がいずれも弱く推奨され、また、●PRRTが強く推奨される等、多岐にわたった推奨がなされた。しかしながら、膵を含めてNENは希少疾患であることから、エビデンスが少ないことが問題であり、それ故、こういった重要臨床課題に対する実臨床での実情を持ち寄って検討ことは重要である。本ワークショップでは、NENの中でも膵臓にテーマを絞って上記を含めた重要臨床課題に対する実臨床での報告を行っていただき、次版のガイドライン作成にむけた礎としたい。

ワークショップ5

膵疾患のバイオマーカー研究最前線
司会
  • 江口 英利(大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科)
  • 児玉 裕三(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 消化器内科学分野)

司会の言葉

膵炎や膵腫瘍を含む多様な膵疾患を対象としたバイオマーカー研究が精力的に進められている。これらのバイオマーカーは、各種膵疾患のスクリーニング、早期診断、鑑別診断、重症度・予後予測、さらには治療法選択やモニタリングなど、幅広い局面において活用されることが期待されている。取り扱う臨床サンプルは血液、唾液、膵液、嚢胞液、呼気、尿、糞便などと多岐にわたり、また解析対象もDNA、RNA、タンパク質、糖鎖抗原、細胞外小胞、細胞、さらには腸内細菌などへと広がってきた。さらにその解析手法もマルチオミックス解析に加え、画像所見や臨床情報を含めた統合解析やAIを用いたビッグデータの解析も加速している。一方で、これらの研究成果を用いた社会実装は、一部の腫瘍マーカーやゲノム医療などに留まっており、未だ膵疾患の実臨床において大きな成果をもたらしてはいないのが現状である。本ワークショップでは、各御施設の臨床応用を目指した最新のバイオマーカー研究についてご発表頂きたい。いかに研究成果をベッドサイドへと繋げるか、現時点での課題と可能性について活発な議論を期待する。

ワークショップ6

UR-M膵がんに対する集学的治療
司会
  • 上野 誠(神奈川県立がんセンター 消化器内科)
  • 杉浦 禎一(静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科)

司会の言葉

遠隔転移膵がんにおいて、近年、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法、FOLFIRINOX療法、二次治療としてナノリポソーマルイリノテカン+5FU/LV療法が登場し、ゲムシタビン、S-1単剤のみが使用されていた時代と比較し、治療選択肢が増えた。しかしながら、遠隔転移膵がんの予後は1年を少し超えるかどうかであり、依然として厳しい。更なる治療成績の向上には、全症例で画一的な治療を目指すのではなく、各々の病態に準じて、conversion手術などを含めた集学的治療が有用かもしれない。また、BRCA遺伝子異常、その他のがん遺伝子異常に基づいた戦略も、広義の集学的治療として重要かもしれない。さらに本邦でがん悪液質の改善を目的にアナモレリンが承認されているが、このようながん進行状態での栄養、QOL維持も、予後延長に寄与する可能性がある。本ワークショップでは、既に報告された戦略だけでなく、現在進行中の臨床試験、バイオマーカー研究なども含め、遠隔転移膵がんの治療成績向上の可能性を持つ取り組みを是非、ご発表いただきたい。

ワークショップ7

新たな疾患概念"PPAP"の臨床的実像 ―症例を通じて考える―
司会
  • 池永 直樹(九州大学病院 臨床・腫瘍外科)
  • 袴田 健一(弘前大学大学院医学研究科 消化器外科)

司会の言葉

膵切除後の残膵に炎症を来す現象は以前から知られていたものの、その病態や臨床的意義が体系的に論じられることはほとんどありませんでした。2016年、Connorらが膵切除後に生じる膵炎を独立した術後合併症と位置づけ、血清アミラーゼ値に基づく定義を提唱したことを契機に、その臨床的インパクトが再認識されました。さらに2022年、ISGPSにより"post-pancreatectomy acute pancreatitis(PPAP)"の診断基準と重症度分類が示され、国際的に新たな疾患概念として位置づけられつつあります。

しかし実臨床では、各施設での経験は限られており、その病態像や予後への影響については未だ十分に共有されていません。本ワークショップでは、全国各施設の実例を基にPPAPの臨床像を多角的に検討します。単例報告も歓迎し、画像所見、病理所見、周術期経過を通してその本質に迫ります。現在、日本膵臓学会のプロジェクト研究「本邦におけるPPAPの現況調査」も進行中であり、本セッションがその臨床的理解を深化させる契機となれば幸いです。

ワークショップ8

膵癌切除後残膵癌の治療方針
司会
  • 鈴木 修司(東京医科大学茨城医療センター 消化器外科)
  • 伊藤 芳紀(昭和医科大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門)

司会の言葉

残膵癌の発生率は約3~5%とまれであるが、近年膵癌切除例が増加し、長期予後が改善するにつれて残膵癌症例も増加してきています。しかし、先行膵癌の局所再発との鑑別、再切除の適応基準、補助化学療法や放射線療法の位置づけ、さらにはサーベイランス体制の標準化など、未だ明らかになっていない課題も多く残っています。このため、残膵癌は先行膵癌切除後長期経過していることも多いため、発見が遅れ治療に難渋する症例も多く認めます。本セッションでは先行膵癌と残膵癌の特徴の違い、先行膵癌切除後からの期間、治療内容によるその効果の特徴、残膵癌の予後等を明らかにし、病理・画像診断、分子生物学的解析、治療成績などの残膵癌の診断から治療まで多岐にわたる各施設の取り組みを広く募集します。

ワークショップ9

膵がんに対するPrecision medicineの実際
司会
  • 池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)
  • 齋浦 明夫(順天堂大学大学院医学研究科 肝・胆・膵外科学)

司会の言葉

膵がん診療におけるゲノム解析は急速に進歩し、EUS-FNAによる組織採取技術の向上や、リキッドバイオプシーによる非侵襲的検査の確立により、がん遺伝子パネル検査の成功率が向上しています。特にリキッドバイオプシーでは結果返却が迅速で、臨床現場での治療選択に直結する情報が得られるようになり、Precision medicine実装の基盤が整いつつあります。

膵がんではKRAS、TP53、CDKN2A/B、SMAD4といった"Big4"遺伝子変異が大半を占め、有望な薬剤が限られていました。しかし近年、BRCA1/2やPALB2変異を有する症例に対するプラチナ製剤やオラパリブ維持療法の有効性が示され、さらにNTRK融合、MSI-High、TMB-High、BRAF V600E、RET融合などに対する標的薬も登場しています。加えて、KRAS G12CやG12Dを標的とした新薬開発も進展しています。

Precision medicineは膵がん治療の新たな可能性を拓きましたが、実際に適応となる患者は依然として限られており、検査体制や治療アクセスの整備が課題です。本セッションでは、その現状と今後の展望について多角的に議論します。

ワークショップ10

膵機能温存・縮小手術の短期および長期成績
司会
  • 水野 修吾(三重大学 肝胆膵・移植外科)
  • 松本 逸平(近畿大学医学部 外科肝胆膵部門)

司会の言葉

膵機能温存・縮小手術は、残膵機能や臓器の温存、さらに患者のQOLに配慮した術式であり、主に膵の良性および低悪性度病変に対して適応されます。その施行にあたっては、正確な術前診断と高度な手術手技により、根治性を損なうことなく安全性を担保することが求められます。しかしながら、適応の妥当性や短期・長期成績に関するエビデンスは未だ十分とは言えません。本ワークショップでは、膵液瘻を含む短期成績や長期予後の検討に加え、術後の膵内外分泌機能や臓器温存によるメリット、栄養状態やQOLといった多面的な評価に基づく報告を広く募集いたします。本領域の現状と課題を共有し、将来的な標準化に向けて活発な議論が行われることを期待しております。多くの演題応募をお待ちしております。

パネルディスカッション1公募・一部指定

膵疾患に対する内視鏡診断の現状と課題
司会
  • 良沢 昭銘(埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)
  • 蘆田 玲子(和歌山県立医科大学 第二内科)

司会の言葉

膵疾患の診断において、超音波内視鏡(EUS)は最も高精度な画像診断法として確立している。近年、造影EUSによる血流動態評価やエラストグラフィー、シェアウェーブ法による組織硬度解析など、多彩な機能的診断技術が臨床応用されている。さらに、微小血流を可視化するMicrovascular Flow Imaging(MFI)や、AIを用いた画像解析の開発も進み、膵癌の早期診断精度の向上が期待されている。一方、EUS下穿刺吸引法(EUS-FNA/TA)は膵腫瘍診断の標準手技として定着しており、穿刺針の選択や穿刺法の工夫、迅速細胞診(ROSE)やAI診断支援の導入により、診断精度と安全性が向上している。海外では膵嚢胞性病変に対するEUS-TTNB(through-the-needle biopsy)などの新手技も進展しているが、偶発症や適応について議論が必要である。さらに、膵管内病変に対しては、Peroral Pancreatoscopy(POPS)による直視下観察が質的・進展診断を大きく進展させつつある。本パネルでは、膵疾患診断の最新技術と課題を多角的に議論し、今後の方向性を展望したい。

パネルディスカッション2公募・一部指定

PRRT時代のP-NET治療戦略
司会
  • 肱岡 範(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科)
  • 平野 聡(北海道大学大学院医学研究院 消化器外科学II)

司会の言葉

近年、膵NETの治療は多様化と深化を続けています。

中でもPRRTは、膵NET治療のパラダイムを大きく変えました。

現在では120施設を超える機関で実施され、臨床経験の蓄積とともに、PRRTを軸とした新たな治療戦略が展開されています。

PRRTの一次治療からの使用、再治療(re-treatment)、分子標的薬や細胞傷害性薬剤との併用、さらには外科治療(conversion手術や周術期治療)を組み合わせた集学的治療など、治療の選択肢は着実に拡大しています。

今後は、こうした多様なアプローチの中で、最適なシークエンスや治療体系をいかに構築するかが重要な課題となります。

本パネルディスカッションでは、各施設および多施設共同でのPRRTの成績、再治療・併用療法・集学的治療の成果、さらに前向き試験の報告などを通じて、PRRT時代における膵NET治療の新たな方向性を探る機会としたいと思います。

パネルディスカッション3公募・一部指定

低侵襲膵体尾部切除のベストプラクティス ロボット vs 腹腔鏡
司会
  • 岡野 圭一(香川大学医学部附属病院 消化器外科)
  • 岡村 行泰(日本大学医学部外科学系消化器外科学分野)

司会の言葉

膵体尾部切除(DP)は、かつて開腹で行われることが主流であったが、2012年に腹腔鏡下膵体尾部切除(LDP)、2022年にロボット支援下膵体尾部切除(RDP)が保険収載され、現在はいずれも低侵襲手術として広く施行されている。

LDPは保険収載から10年以上が経ち、蓄積された経験に基づく標準化が進み、器具や施設整備の負担も比較的少ない点が利点である。一方、操作の自由度が限られるため、膵癌に対するリンパ節郭清や血管温存を伴う脾温存手術など、精緻な操作には熟練を要する。

RDPは、多関節鉗子と3D高精細視野により微細な剥離や縫合が容易となり、LDPの弱点を克服しうる術式である。さらに、ラーニングカーブの短縮も報告されているが、導入・維持コストの高さが課題である。

LDPは汎用性と経済性に、RDPは精密性にそれぞれ強みを有し、施設の体制や症例特性により術式選択は異なるのが現状である。

本セッションでは、各施設におけるLDPおよびRDPへの取り組みを紹介いただき、両術式の利点・課題について議論を深め、低侵襲膵体尾部切除の今後の展開を展望したい。

パネルディスカッション4公募・一部指定

慢性膵炎に対するbest practice
司会
  • 中井 陽介(東京女子医科大学消化器内科)
  • 海野 倫明(東北大学大学院 消化器外科学)

司会の言葉

「慢性膵炎臨床診断基準2019」および「慢性膵炎診療ガイドライン2021」の普及により、慢性膵炎の診療は標準化が進みつつある。一方で、早期介入の有用性や長期予後の改善など、いまだ明らかでない点も多く残されている。慢性膵炎の診断においては、最適な画像診断法、膵外分泌・内分泌機能を含む病期評価の方法とその有用性が課題である。膵管狭窄や膵石による疼痛治療に関しては、外科治療の長期成績が良好であることが示されているものの、実臨床では内視鏡的治療が第一選択となることが多く、外科治療の位置づけは施設により大きく異なっている。また、近年注目されている早期慢性膵炎の診断法とその介入の意義、さらには膵酵素補充療法や栄養療法によるサルコペニアの改善など、長期成績の向上に関するエビデンスも十分には確立されていない。さらに、慢性膵炎は膵癌の高危険群であるが、早期診断のための長期的な経過観察法についても確立された方法は存在しない。本セッションでは、慢性膵炎の診断から治療まで、内科・外科双方の視点から幅広く議論し、慢性膵炎診療におけるBest Practiceの現状と新たなエビデンスについて検討したい。

パネルディスカッション5公募・一部指定

自己免疫性膵炎長期経過例の特徴と課題
司会
  • 内田 一茂(高知大学医学部 消化器内科学)
  • 岩崎 栄典(東海大学医学部 消化器内科)

司会の言葉

自己免疫性膵炎(AIP: Autoimmune pancreatitis)は、日本から世界へと発信された疾患概念であり、IgG4関連疾患の先駆けとして国際的に認知されている。2018年の臨床診断基準改訂、2020年の診療ガイドライン改訂を経て、診断・治療体系は着実に整備されてきたが、長期経過例の実態と課題については、いまだ十分に明らかとはいえない。

AIPは再燃や膵石灰化、慢性膵炎への進展に伴う膵外分泌不全、内分泌機能障害による糖尿病発症、さらには悪性腫瘍の合併など、多様な臨床経過を示す。長期フォローにおける画像・血液検査の最適な方法、膵機能の変化、再燃抑制のためのステロイド維持療法や免疫調節薬の活用、B細胞標的療法の現状、悪性疾患合併のリスク、内視鏡的検査・治療の位置づけ、炎症性腸疾患合併例のマネジメントなど、依然として検討すべき課題は多い。

本セッションでは、長期経過例に関する各施設・研究グループでの貴重な知見を共有し、臨床現場で直面する問題点や新たな治療的アプローチを議論したい。長期観察例の解析や症例シリーズ、臨床研究成果など、幅広いご発表をお待ちしている。

パネルディスカッション6公募・一部指定

小pNENに対する治療戦略
司会
  • 仲田 興平(九州大学病院 臨床・腫瘍外科)
  • 川嶋 啓揮(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)

司会の言葉

膵神経内分泌腫瘍(PanNEN)は近年、増加傾向にある。CTや超音波内視鏡(EUS)などの診断モダリティの進歩に加え、超音波内視鏡下組織採取(EUS‐TA)の普及により、とくに 20 mm 以下の病変の診断率が向上しているためと考えられる。一方で、このような小病変では、画像上で同定された後の最適な治療方針について判断に迷うことが少なくない。すなわち、小型PanNENに対して全例にEUS‐TAを施行すべきか、また経過観察・手術のいずれを選択するか、経過観察するのであればその方法と頻度はどうするか、手術をするのであればリンパ節郭清の要否をどう評価するか、多発性内分泌腫瘍症1型などの遺伝性疾患は分けて考えるべきか、といった論点である。さらに、近年は内視鏡的エタノール局所注入療法や焼灼術も選択肢として検討されている。本シンポジウムでは、20 mm 以下のPanNENを対象に、診断と治療方針について幅広い観点から議論を行い、今後の治療戦略の構築につながる知見の共有を期待する。

パネルディスカッション7

R膵がんに対する標準治療を再考する
司会
  • 谷 眞至(滋賀医科大学外科学講座(消化器・乳腺・小児・一般外科))
  • 山上 裕機(湘南鎌倉総合病院)

司会の言葉

R膵がんは外科手術の効果が最も期待できる病態といえます。手術手技の向上、術後管理の進歩、術前・術後補助療法の発達、術後の支持療法の開発など、様々な取り組みにより、R膵がんの予後は切除単独時代と比較して改善してきました。然しながら、術後に再発する症例も多く、R膵がんといえども切除症例の予後は決して予断を許さない状況であり、膵がん治療の難しさを感じるとともに、R膵がん治療にはまだまだ改善の余地があると考えます。

今後、新たなR膵がんに対する標準治療を構築するため、これまでのR膵がんに対する予後向上の取組みから問題点を洗い出すとともに、取り組むべき治療の方向性や新規臨床試験をご提案いただき、R膵がんの予後改善につながるセッションにしたいと思います。また、そもそもR膵がんとは何なのでしょうか。解剖学的因子から生まれた概念ではありますが、R膵がんとは何なのかを見つめ直すべき時期に来ているようにも感じます。みなさんで真のR膵がんを議論できるような、今後のR膵がんの方向性を示すようなセッションになれば嬉しく思いますので、宜しくお願いします。

パネルディスカッション8(英語セッション)指定のみ

EPC(IPMN)
司会
  • 大塚 隆生(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科)

司会の言葉

The number of incidentally identified pancreatic cysts is increasing, with population-based studies reporting an incidence rate of approximately 2%. Most of these cysts are classified as intraductal papillary mucinous neoplasms (IPMNs), highlighting the urgent need to establish cost-effective surveillance protocols. In Western countries, current guidelines recommend discontinuing surveillance for small, stable IPMNs that show no malignant potential. In contrast, Japanese clinicians posit that IPMNs exhibit dual carcinogenesis pathways: malignant transformation originating from the IPMN itself, and concomitant development of pancreatic ductal adenocarcinoma (PDAC) distinct from the cystic lesion. This pathophysiological understanding underpins the prevailing clinical practice in Japan advocating for indefinite surveillance if fit for surgery, even for small IPMNs demonstrating radiographic stability. The present panel discussion will comparatively analyze: 1. histopathological mechanisms of IPMN-associated carcinogenesis, 2. epidemiological patterns of concomitant PDAC development, 3. divergent surveillance paradigms between Japanese and European guidelines, and 4. cost-benefit considerations in long-term monitoring protocols.

パネルディスカッション9公募・一部指定

膵石に対する内視鏡治療の現状と今後
司会
  • 藤森 尚(九州大学病院 肝臓・膵臓・胆道内科)
  • 入澤 篤志(獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座)

司会の言葉

日本膵臓学会による「膵石症の内視鏡治療ガイドライン2014」の発刊から10年以上が経過した。その間、内視鏡関連のデバイスや治療手技・技術の発展により、膵石に対する内視鏡治療は大きく進歩した。ESWLと内視鏡治療の併用が主流であるが、経口膵管鏡の進歩により、直視下に結石破砕を行う施設も増えてきた。また、EUS下膵管ドレナージの登場により、経乳頭のみならず複数のルートから膵石にアプローチできる時代となったが、これらの有用性と安全性は定まっていない。また、内視鏡治療の限界や合併症管理も理解しておく必要がある。結石除去に難渋し、外科手術に移行する症例や膵管ステント交換を繰り返す症例も実際には多く存在し、ガイドラインでカバーしきれないclinical questionも存在する。このような背景を踏まえて、本パネルディスカッションでは膵石に対する内視鏡治療に関する各施設の現状を共有し、内視鏡治療・外科的治療も含めたストラテジーや今後の展望も含めた幅広い議論を行いたい。多くの演題応募を期待する。

パネルディスカッション10公募・一部指定

IPMN併存膵癌の早期診断に対する取り組み
司会
  • 廣野 誠子(兵庫医科大学 肝胆膵外科)
  • 伊佐山 浩通(順天堂大学)

司会の言葉

通常型膵癌の早期診断は極めて困難で、診断時には多くの症例がすでに進行癌となっており、予後不良である。早期膵癌の発見が難しいのは、高危険群の特定や有効なスクリーニング法がないためと考えられる。一方、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対する経過観察中、あるいは外科的切除後の残膵フォロー中、2~10%に通常型膵癌の併存を認めるとされている。それらの併存膵癌は比較的早期に診断できる場合があり、早期治療を開始することで生存期間の延長が期待できるため、重要な高危険群と考えられている。本邦以外でもIPMN併存膵癌は認識されつつあるが、その実態の把握やIPMN由来癌と区別する方法の確立も今後の進歩には重要な課題と考えられる。本セッションでは、IPMNを背景とする膵癌に対し、いかにして早期診断を実現するか、最新の画像診断技術、バイオマーカー、経過観察のプロトコールなど、幅広い視点からの取り組みを発表いただきたい。また、IPMN症例数は非常に多く、併存膵癌高危険群の設定や、簡便なスクリーニングツールなど、より効率の良い発見ストラテジーについても討論したい。

パネルディスカッション11(英語セッション)指定のみ

EPC(膵炎)
司会
  • 池浦 司(関西医科大学附属病院 消化器肝臓内科)

司会の言葉

Several diagnostic criteria and clinical practice guidelines for both acute and chronic pancreatitis have been established to encourage standardized clinical management; however, various clinical issues remain unresolved. In acute pancreatitis, a subset of patients continues to experience early mortality or prolonged disease courses due to late-phase local complications. Key clinical challenges include determining optimal strategies for early fluid resuscitation and enteral nutrition, effectively using severity scoring systems to identify patients at high risk of mortality, improving adherence to guideline-based management, and selecting the appropriate timing and modality of interventions for local complications. In chronic pancreatitis, nutritional therapy, analgesic administration, and pancreatic enzyme replacement therapy remain the mainstays of medical management, depending on the presence of pain and steatorrhea. Endoscopic therapies, including transpapillary pancreatic stone removal and pancreatic duct stenting, have been widely adopted, along with per-oral pancreatoscopy-guided lithotripsy and EUS-guided interventions in selected cases. However, consensus has not yet been reached regarding the optimal timing for transitioning from endoscopic to surgical management, the selection of endoscopic versus surgical approaches with consideration of pancreatic function preservation, or the role of pancreatic cancer surveillance during long-term follow-up. Additionally, recent studies have suggested that pancreatic fatty infiltration may play a role in the development and progression of both acute and chronic pancreatitis, raising new questions regarding pathophysiology and clinical management. The aim of this panel discussion, held jointly by the Japan Pancreas Society (JPS) and the European Pancreatic Club (EPC), is to review the current state of evolving management strategies for acute and chronic pancreatitis, share remaining challenges, and explore future directions.

ビデオシンポジウム

膵疾患に対する内視鏡的interventionの実際とトラブルシューティング
司会
  • 岩下 拓司(滋賀医科大学 消化器内科)
  • 木暮 宏史(日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野)

司会の言葉

膵疾患のマネージメントにおける内視鏡的Interventionは、疾患に対する知見の深化、内視鏡技術の進歩、さらには新規デバイスの登場により、その適応が拡大している。代表的な内視鏡的Interventionとして、ERCPを用いた膵管狭窄・閉塞に対する治療や膵管結石除去、またEUSを用いた膵周囲液体貯留(仮性嚢胞、被包化壊死、膵液漏)へのドレナージ、膵管ドレナージ(ランデブー法、経消化管的ドレナージ、順行性治療)などが挙げられる。これらの膵疾患に対する内視鏡的Interventionは一定の有効性が報告されている一方で、実際の臨床現場ではしばしばトラブルに直面することも少なくない。内視鏡的Interventionをより安全かつ確実に施行するためには、想定される多様なトラブルに対して適切にマネージメントすることが極めて重要である。本セッションでは、膵疾患に対する内視鏡的Interventionの実際とトラブルシューティングについて、ビデオを含む少数例の報告から体系的な臨床研究まで、幅広い演題を募集する。

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